Column コラム

株式会社RE:PUBLIC 鈴木 敦様

SDGs

今回は、弊社パーパスの策定に携わっていただいた、株式会社RE:PUBLICの鈴木 敦様にお話を伺いました。

 

 

◆リ・パブリックに出会ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

前職では行政機関で日本企業の海外進出を支援する仕事をしていて、アメリカに駐在していました。帰国のタイミングでその仕事を辞め、ミャンマーで図書館や出版関係の新規事業を創るプロジェクトに参画しましたが、そのプロジェクトでは週の半分ぐらいしか稼働がなかったため、残りの半分は外部の研修に出たり本を読んだりして暫く過ごしていました。そんな時に、友人の紹介でリ・パブリックが人を募集していることを知り、弊社の共同代表二人と話す機会を得ました。入社面談というよりは、お互いが関心のあることを話しただけなんですが、面白そうな会社だなと感じたのと、ミャンマーの仕事を続けながら働けばいいと言ってくれたこともあり、入社を決めました。

 

リ・パブリックではどのようなお仕事をされていますか?

 

リ・パブリックは、持続的にイノベーションが起こる生態系(=エコシステム)を研究し(Think)、実践する(Do)、シンク・アンド・ドゥタンクです。

研究や政策提言に重点を置く通常のシンクタンクとは異なり、自分達自身が実践に深く関わることで、そこでの「知」を抽出・理論化して、また実践に戻していくことを目指しています。また、仕事の内容からコンサルタントのようにも捉えられがちですが、解決方法を提示するのではなく、地域や企業と一緒に課題を見つけ考え、その実現に向けた事業を構想するプロセスを設計し伴走することを大事にしています。これにより、イノベーションを自立的に生みだせるチームや仕組みを構築し残していきたいと考えています。

 

プロジェクトの種類は多様です。社会をより良い方向に変革していくことを目指すべき成果とし、志を同じくする行政や企業などと協働しています。例えば、企業との仕事では、今回コーチョーさんと取り組んだように、時代が変わっていく中で、その企業が社会においてどんな役割を果たしていくのかを一緒に考え言語化し事業づくりに繋げていく支援もしています。人が考えたことはあくまで借り物にしかならないので、ここでも社員の方々が自ら探索することを大事にしています。社員ひとりひとりが自分自身で気づき腹落ちすることが、最終的にその会社の動力源になると考えています。そのプロセスの設計と伴走を行うのが我々の役割です。

 

行政との仕事では、地域や企業・行政におけるデータ利活用を推進するDXの支援や、町に散在している情報や住民が持つ知識など様々な情報資源を結びつけて新たな住民活動を生み出す図書館を軸にした文化施設の構想づくり、中央省庁の政策立案のお手伝いなども行っています。

 

◆たくさんの企業とお仕事をされていると思いますがお仕事をする中で大変だったことは何ですか?

 

うーん。そうですね。日本の企業や行政はトップダウンのピラミッド構造になっているところが多いので、ひとりひとりが自分の問題意識を繋げて共感しエネルギーに変えていく我々の目指すボトムアップのアプローチが大きな組織ほど難しいことがあります。

 

コーチョーさんとも取り組んだ「パーパス」がいま大事だと語られる背景のひとつには、トップダウンの組織が従業員ひとりひとりの想いや創造性を活かしきれてこなかったことがあると考えています。私も行政機関から小さな会社での仕事に転じましたが、特に大きな組織では従業員の想いとエネルギーこそが最も活用されていない経営資源と言ってもいいのではないでしょうか。大きな組織の中で、ひとりひとりの想いが交わり創発を生み出していく環境をどう創り出していくかは個人的にも引き続き追求したいテーマです。

 

◆(可能であれば)今までの中で印象に残ったお仕事は何ですか?

 

お世辞ではないですが、コーチョーさんとの仕事は、我々にとってもとても学びになったプロジェクトだと思います。

 

ペットのトイレタリーグッズの会社というイメージを当初は持っていましたが、みなさんと会社の歴史をたどっていった時に、女性の生理用ナプキンから始まり、オムツを経て、現在では福祉の事業も手掛けられているなど、一貫して人々の「ケア」に関わって来た会社であることがわかりました。

 

そこを深めていくために、「あなたにとってケアとは何か?」というような抽象的でパーソナルな問いも投げかけましたが、プロジェクトメンバーひとりひとりが自分が考えるケアを言語化して答えていたことがとても印象的でした。企業プロジェクトでこうしたワークショップを行うと、なかなか会社の枠を超えらず個人が見えにくいこともあるのですが、自分の考えをしっかり表明できる社員の方々がいると、ここまで深い探求プロセスをご一緒できるんだと驚きました。

 

また、プロジェクトの後半には「ケアという行為を奪いたくない」という言葉が副社長から出てきました。ケアについて考えると、より楽にケアが出来たらいいなと、ついついケアの負担をなくす方向で考えてしまう。ただ実際には、ケアは人と人や人と動物を結び付ける、そしてその中で喜びをお互いに感じる大事な行為なんだという趣旨でした。ただケアの負担をなくすということであれば、ケアをロボットに完全に任せるのでもいい。しかしそれでは我々の人生で大事にしたい存在との繋がりが失われてしまう。つまり、コーチョーはケアを世の中からなくすのではなくて、ケアが当たり前になる社会を目指していくという方向性が見えてきました。コーチョーさんが大事にしてきた軸が言語化された瞬間に立ち会えたことは、個人的にもとても感慨深いものでした。

 

◆コーチョー60周年プロジェクトに携わっていただきましたが、鈴木さんから見てコーチョーはどんな会社でしたか?

 

素晴らしい企業だと思います。昨今ではSDGs達成に向けた取り組みや顧客だけではなく取引先や従業員など企業を支える全ての人に還元する経営姿勢が大事だと言われたりしますが、コーチョーさんの歴史をたどると、昔から当たり前のようにやられていることなんですよね。健康促進や福祉活動の支援であったり、様々なイベントを通じての地域還元であったり。これからの時代は、こうした地域社会の公器としての役割を果たして来た企業がリードするのではないかと思っています。

 

◆(上の質問を踏まえて)鈴木さんからコーチョーで働いている人たちへのメッセージ

 

コーチョーさんには「やさしさをかたちに」という素晴らしい社是があります。今回のプロジェクトを通して見えてきたのは、コーチョーさんがかたちにするのはひとつの製品やサービスに留まらず、「ケア」が当たり前となる社会そのものだということでした。そして、その実現の鍵になるのが自分とは異なるものへの想像力を持つやさしさでした。

 

ただ、ケアすべき対象が誰なのか、その存在のために何が出来るのかはここでは示されていません。ここに対する想いやアプローチはひとりひとり違うと思います。この違いこそがコーチョーが新しい事業を生み出し、より多様な形で社会に貢献していく素地になると思いますので、ぜひ社員の皆さんみんなで議論して、作っていっていただけると嬉しいです。

 

◆    皆様今回は貴重なお時間を頂きありがとうございました。

今回、リ・パブリック様に携わっていただきましたパーパスについては、こちらをご覧ください。

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