Column コラム

NPO法人 静岡FIDサッカー連盟代表 瀬戸脇 正勝様

社会貢献

今回は、NPO法人 静岡FIDサッカー連盟代表 瀬戸脇 正勝様にお話を伺いました。

 

 

 

◆教育者となるきっかけを教えてください

高校の時、一時期怪我をしていました。先生の勧めでその時期に、児童養護施設を訪問して一緒に遊ぶ経験をし、そこで情緒面、対人関係に課題のある子どもと接して、福祉や特別支援教育に興味を持ちました。

また、1974年、宮城まり子氏制作・監督の『ねむの木の詩』の映画にも影響されたように思います。

その後まさか静岡に就職し、宮城まり子氏とお会いするようになるとは思ってもいませんでした。

 

 

◆障がい者スポーツに取り組むきっかけを教えてください。

スポーツは、するのも、見るのも大好きです。学生時代は、サッカーを中心にして大学まで行っていました。卒業後は、静岡県の特別支援学校に採用され、知的障がいの小学部が教員生活の始まりでした。

そこでは当時の上司に、子どもたちが主体的に活動(遊ぶこと)できるようにすること、保護者を明るくすることの2つ課題を頂戴し、闇雲に取組んでいました。

30歳になる頃の転勤で、高等部の担当になり、働くための学習や社会参加のための進路の仕事をするようになりました。

小学部の時にあんなに遊ぶことに夢中になることを目指していたのに、高等部になると働くための体力作り、意識作りが中心でした。

「豊かな人生」を考えたときにこれで良いのだろうか思うようになり、仲間とたくさん議論して、特別支援学校の高等部にも部活を作ろうということになり、1989年にサッカー部を作りました。

そして現在、株式会社コーチョーにご協賛いただいている県の特別支援学校の大会、「もくせい杯」を作りました。もくせい杯は2022年度が第34回となり継続されています。特別支援学校の全国大会は、2015年に藤枝市でもうひとつの高校選手権という愛称で開催され、現在では全国で予選を勝ち抜いた12校が参加しています。

 

 

◆障がい者スポーツの魅力を教えてください。

日本サッカー協会は、グラスルーツ宣言で『年齢、性別、障がい、人種などに関わりなく、だれもが、いつでも、どこでも。私たち日本サッカー協会は、サッカー、そしてスポーツの持つすばらしさをもっともっと、たくさんのみなさんと分かち合い、育みたいと考えています。』と言っています。

 「日本代表になりたい」と言っていた障がいのある仲間がいました。今年、障がい別の日本代表も、日本代表と同じユニホームを着ることができるようになりました。

これからは、日本代表のプライドを共有できるのです。素晴らしいことであり、障がいのある子どもたちにも夢が大きく膨らむと感謝しています。

パラサッカーは、7つのサッカーのジャンルがあります。目が聞こえにくい、耳が聞こえにくい、身体を動かしにくいなどそれぞれの障がいに応じてをルールや道具の工夫をしています。

切断者のサッカーでは、杖を使ってサッカーをします。脳性麻痺の方のサッカーではスローインは手で転がします。

パラフットボールの魅力の1つ目は、このようにその障がいに応じた工夫にあると思います。

2つ目は、障がいのある方の真摯な努力です。一生懸命に真面目に取り組む彼らに人生を教わった人はたくさんいると思います。

3つ目は、スタッフの方の動きです。パラアスリートが全力で戦えるように多様な取り組みを行っています。知的障がいのコーチは、わかりやすく粘り強くアスリートに接します。身体のケアーの必要なアスリートには、医療従事者がたくさん関わるようになってきています。

4つ目は、パラアスリートを含めて皆で作っていくスポーツだということです。ブラインドフットボールでは、晴眼者と視覚障がい者が、音と声でつながります。しかも観客も声を出さずに応援の協力をします。またデフサッカーでは、審判のフラッグの本数が増えたり、観客は、両手を上に上げ、手首を回転させてひらひら動かし、選手の頑張りに気持ちを伝えたりします。

 

最後に、パラフットボールアスリートに「どうしてサッカーをやるの」聞いてみました。

「試合で自分が練習してきたことが確認できる」「大会で同じスポーツをする人たちと競える、会える」「練習してできたことがうれしい、努力した自分をほめたい」などなど聞いたことがあり、障がいのない人と何も変わらないと強く思いました。

 

 

◆ 障がい者スポーツの課題を教えてください。

有難いことに、静岡のパラフットボール人口は増えてきています。そのためには、まずは練習場所の確保、指導者の確保が急務です。

 特に指導者の確保は、切実です。新しい試みとして、CPサッカーでは、三保地区で、少年団で指導していた地域のシニアに関わっていただいています。シニアの方がやりがいを感じていることが伝わってきます。またデフサッカーでは、富士市立高校の生徒がボランティアとして関わっています。保護者も高校生とデフの子どもたちとのやり取りの経験が互いにとってメリットになると期待しています。障がいのある当事者も、長くサッカーを続けて、指導者になることも期待されるところです。

そしてもうひとつは金銭的な面でしょうか、障がいのある方たちの良い労働条件は決して良いとは言えないことも多く、スポーツを続けることの困難さがありがちなことも現実です。パラスポーツをもっと知ってもらって、応援してもらえるように努力していかなければと思っています。

 

 

◆障がい者スポーツの未来を教えてください。

パラアスリートの中には、長い間、引きこもっていた方もいらっしゃいます。切断の障がいになった方は、はじめアンプティサッカーはサッカーでないと言っていましたが、体験するとすぐにはまっていました。

ある知的障がいアスリートの保護者は、「うちの子がユニホームを着て、ピッチに立っているなんて」と涙ぐんでいらっしゃいました。あるいは別の保護者からは、「私が地域のクラブにお願いする勇気がなかったから、サッカーをさせられなかった。」とサッカーをする場所を探しているという切実なお電話をいただいたこともありました。

 

「誰でも、どこでも、いつでもスポーツができる」そんな社会になっていかなければなりません。

まだまだ障がい者のサッカーの試合は、観客が少ないのが現状です。他県では、「静岡で試合をやりたい」という選手が多いと聞きます。それは観客が多いからです。もっともっと増やして、パラアスリートを応援、支える文化を静岡から発信したいと思っています。

 

 

◆弊社の中期経営計画スローガン「真化~変化を恐れるな~」について

  瀬戸脇様にとって「真化~変化を恐れるな~」をお教えください。

私たちのサッカーは、まだまだ手探りです。ブラインドサッカーの選手から、電車やバスで自力で行ける場所で練習したいという要望が出ました。気付くのが遅すぎました。人はできることは自分でしたいのです。支援って何かと今も問い続けています。

 

一緒に講演をしたパラアスリートは、「障がいを負った時から自分が人に役立つことはないと思っていた」といって、皆が真剣に話を聞いてくれたり、メモをとったりする姿から、講演での確かな手応えを話してくれました。

 

私たちは、「困ったを見過ごさない静岡」を目指します。そのために、多くの世代、多くの人に障がい者サッカーを見ていただく、知っていただく様に努力をしなければなりません。御社が地域貢献を経営の一つの柱にされているように、豊かな地域にするために私たちは何ができるのか模索していかなければなりません。失敗を恐れずに様々な活動に挑戦していきたいと考えています。

 

◆今回は貴重なお時間を頂きありがとうございました。

今回お話を伺いました、瀬戸脇様が代表を務めるNPO法人静岡FIDサッカー連盟の詳細はこちらをご覧ください。

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